私は晃の隣に、少しぎこちなく座ると…

晃はオレンジジュースの缶を開け、一口飲んで、重たい口を開いてこう言った。


「俺もさっき彼女に振られたんだよね」


晃に彼女いたんだ!へぇ~


ん?こんなに親近感を覚えたって意味は、私達が似た者同士だから…?


「そうなんだ」


「だから俺達似た者同士だからさ、仲良くしようよ
そういうことで、今日泊め…」


危なっ。
まんまと騙される所だった。

振られたのだって、嘘か本当かさえ、分からないんだから。


「はぁ?ホテルでも泊まりなさいよ!!
何で私が、晃を部屋に泊めなきゃいけない訳?」


「俺、金ないし…
転校生だし…
仕送りまだだし…
彼女に振られたし…
鍵なくしたし…

管理人が戻ってくるまで、俺をかくまって?」


かくまってとか、晃何かしたの!?

でもしょうがないかぁー。

管理人が戻ってくるまで我慢しよう。


行き場に困ってる人が、目の前にいるのに冷たくできないから。

これも何かの縁だと思えばいい!!



「もう仕方がないなぁ~
ただし、泊めるからには、
料理、部屋の掃除、今日から家政婦ね!よろしく!!」


そんなの当たり前。
只住みなんて、そんなの甘い。

晃には、バリバリ働いてもらいます!


「あぁー
もう分かったよ」


頭を掻きながら、そう言った晃は少しイライラしてるようにも見える。


「そういえば、さっき彼女に振られたって言ってたけど
あの場所にいたの?」


なぜだか気になる。
もっと知りたい気持ちになる。

私は思わず、口走って晃にそう聞いていた。


「ちげぇーよ
メールで振られた」


ある意味違う返答で、心の中でモヤモヤしていた感情が爆発した。

心の声でボソボソと一人言。




はぁあ!!!
情けない。
男が私より弱気だなんて…


男であってこそ、直接アタックして女の子のハートを掴むものでしょ?


そ、それがメールだなんて…



私だったら勘違いしちゃうかも。


"好きだ、付き合ってくれ!"


OKだしたら、実はそれが嘘の告白だったことが、度々あったからなぁー


女をなめてはいけない。


女は、端からの遊び道具じゃないんだよ。



って、相手に言いたかったけど…


結局は"大丈夫だよ"って話を逸らした。


それが好きな人だった時は、超絶に凹んでしまう。







逆に晃は、どんな気持ちだったのかな…?