下の名前なんて覚えてもらえていないと思っていた。 入学して1ヶ月。 私は、“風見サン”で定着していて…… 下の名前で呼ぶヒトは、同じ中学のヒトだけだった。 なのに……的場クンは知っていてくれていた。 それが、無償に嬉しくて…… その日は、一日中、口元が緩んでいた。