「ねえね、君名前は?」

突然、前に座る烏田が話しかけてきた。
げっ……やめてくれ。
お願いだから。

「神凪露草」
しぶしぶ名乗る。

「へぇー、露草?珍しい名前だね。俺は烏田真琴。真琴って呼んでね。よろしく!」

「…よろしく」

本当はよろしくなんてしたくないが。

しかしどうしよう。
こいつといると変装までしてこの学園に入った意味がなくなる。
俺の努力は水の泡。

でもこいつには悪気があるわけでもないし、実際話してみると相当いい奴そうだ。
詐欺に引っかかりそうな…。

「あ、露草って呼んでいい?」
「…どうぞ」

よし、こうなればできるだけ無愛想キャラを貫いて、あっちから離れていってもらうしかない。
悪いなカラス少年、お前のことは嫌いではないのだが。