「いやぁ!!私帰ります!帰してください!!」

あの後宮辺さんに軽々とお姫様抱っこされ、私の場所になるという部屋へつれてこられた。

「落ち着いて、蒼井さん」

「無理です!妖怪とか悪魔とか絶対一緒になんか住めません!!別のアパート探します!」

暴れる私を、宮辺さんが困った顔で抑えている。
しばらくするといきなり、宮辺さんが手を離した。

「いいか、蒼井美波」

「え?」

さっきまでとは違う口調の宮辺さんに、思わず私は動きを止める。

「お前はすでに俺と契約したんだ。今更取り消すことなどできない」

「宮辺さん……?」

口調も態度も全くの別人のようで、動揺を隠しきれない。

「俺は柳彦じゃない。琴辺冬彦(コトベフユヒコ)だ」

「どういうこと?」

「宮辺のもう一人の人格だと思ってくれればいい。とにかくお前は神と契約したんだ。神との契約を破棄することはできん」