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ゲームセンターからあたしたちのバイト先までは、歩いて20分ほどの場所にあった。


これまでも散々歩き回っていたので、たどり着いたときには額に汗がにじみ出ていた。


コンビニは真夜中でお客さんの姿も見えないのに明々と電気が付き、カウンターごしに欠伸をする店員の姿が見えた。


「どこにもいないね……」


外から見た限り店の中に人影はない。


もちろん駐車場にも誰もいなくて、店員2人分の車がとまっているだけだった。


「……葵どこ行っちゃったんだろう……」


実紗がコンビニの前でしゃがみ込み、両手で顔を覆った。


なんと声をかけてあげればいいかわからなくなったあたしは、ただ実紗の隣に座りその肩を撫でるしかなかった。


他に葵君が行きそうな場所なんて思いつかない。


明日藤井さんに事情を説明して、どうするか考えるしかないんじゃないだろうか。