でも、そんな時だった。


実紗が「あ……」と、何かを思い出したように声をあげたのだ。


「なに?」


「もしかして、あたしたちのバイト先にいるってことはないよね?」


「バイト先……?」


実紗の言葉にあたしは首を傾げる。


葵君も蒼太も、あたしたちのバイト先までは連れて行っていないから。


「あたしたち、彼氏人形にバイト先がどこにあるか教えたよね」


「え……あぁ、そういえば……」


先に家に帰るように伝えたとき、アルバイトの事を細かく説明した。


そうしないと、2人とも納得して帰ってくれなかったから。


「行ってみる?」


実紗にそう聞くと、実紗は「うん」と、頷いた。