「あはは、ちょっと失敗しちゃった」


あたしはそう言い、ペロッと舌を出す。


「嫌な客だね」


実紗は小声でそっとそう言う。


「でもミスをしたのはあたしだし、仕方ないよ」


「蒼太君の事が気になる?」


実紗がそう聞いてきて、あたしはまたチラリと店の外へ視線をやった。


さっきの酔っ払いがヨロヨロしながら歩いて帰っている後ろ姿が見える。


「葵君の事は気にならない?」


「気になるに決まってんじゃん」


実紗はそう言い、深くため息をはきだした。


「やっぱり、気になるよね。無事に帰れたかどうか」


「うんうん。たぶん大丈夫だとは思うけど、葵はイケメンだから途中で逆ナンされてないか心配で……」