「正直まだ信じられないけれど、これが本物の彼氏人形なのね」


「はい」


実紗がそう言ってうなづく。


「それで……あたしに何が聞きたいの?」


「良子さん……。良子さんの後輩に彼氏人形が原因で亡くなったかもしれない方がいますよね」


「……えぇ」


「その方のお友達や知り合いの人がいたら、あたしたちに紹介してくれませんか?」


あたしがそう言うと、良子さんは少し困ったように眉間にシワを寄せて視線を空中へ動かした。


「今までの話を整理すると、あなたたちも彼氏人形に殺されるかもしれないってことよね?」


「……そうです」


殺されるかもしれない。


その言葉に背筋がゾクリと寒くなる。


「わかったわ。ちょっと待って」


そう言うと、良子さんは立ち上がり黒い本棚へと手を伸ばした。