藤井さんにひどい追い返され方をしたあたしたちは、ほとんど口を開かずに帰り道を歩いていた。


実紗は腕が痛むのか時折立ち止まっては、固定されている包帯の上から腕をさすった。


「実紗……平気?」


いつもの十字路まで来て立ち止まり、あたしは実紗にカバンを渡した。


「……うん……」


頷くものの表情は暗い。


「葵君となにかあったら、すぐに連絡してくるんだよ? 無理しちゃダメだよ?」


「わかってる……」


うつむいたままの実紗をほうって帰るわけにはいかず、あたしは言葉を探す。


「そういえば実紗今日アルバイトだよね? 休むの?」


話題を変えるためにそう聞いてみると、実紗はハッとしたように顔を上げた。