「んもうっ‼︎あおちゃん‼︎イタイでしょ⁉︎」
「あぁ?テメェが殴られるようなマネしたんだろうが」

そう。眞一郎の手を阻止したのは、ケダモノ碧都。ほら、またこうやってわたしを守る。

「ケダモノさん、ありがとう」

きっとわたしがこう言ったら、突っかかってくるんだろうな。

「あぁ?別に礼なんていらねぇし‼︎」

ほらね?でも、やっぱり耳が赤いよ?可愛いケダモノさん?

「あら、そぉ?じゃぁ、取り消すぅ」
「つーか、なんだよ。その“ケダモノさん”ってよ‼︎」
「だってケダモノじゃない?バイトの子に手出しちゃうケダモノ」
「うっせぇ。ケダモノじゃねぇし‼︎」

誰が聞いたって、ケダモノじゃない。よくもまぁ、“ケダモノじゃない”なんて言えるわね。

「ケダモノには用はないの。ねぇ、眞一郎?」
「え?あ、うん?そだ、聞きたいことね!なぁにー?」

ケダモノ碧都を無視し、わたしは眞一郎に向き合った。

「みんな同い年なんでしょ?でも眞一郎は、楓にだけ“楓くん”って呼んでるよね?あれは、どうしてなのかなと思ってさ」
「あー‼︎それを聞きたかったの⁉︎えぇ?だってさぁ、“碧都”だから“あおちゃん”で“尚樹”だから“なおちゃん”でしょ?でも、“楓”だと“かえちゃん”って、なんだかおかしいと思わない?」
「あー、うん…」

なーんだ。そんな理由か。確かに“かえちゃん”っておかしいけど、“あおちゃん”“なおちゃん”って、ねぇ…?

いや、でも聞けてスッキリした‼︎うん。みんな、わたしより8歳も下だったのは、なかなかスッキリできないんだけど…。