「えー?杏ちゃん、シンちゃんばかりズルイわぁ。ボクのことも“楓くん”やなくて“楓”って呼び捨てしてくれへん?」
「え、いいけど…。みんな何歳なの?すごく気になるんだけど…」

年下なのは、もう分かってるんだけどね?だけど、一応ねっ?

「23やね」
「に、じゅう、さん…」

やだっ、8歳も下…。えぇ、わたくし31歳なのですよ…。そりゃ、ケダモノ碧都が“ばばぁ”っていうのも理解できるわ…。

「そうそう‼︎みんなね、小さい頃からずっと仲良しなのー‼︎」
「へぇ…。そうなの」

眞一郎がキラキラとした笑顔で、幼なじみだと教えてくれたのだけれど、全然笑えない…。

「杏は、いくつなの」
「えっ」

ヤマネコ尚樹に“杏”と、呼び捨てにされ変に胸が締め付けられて。

そのカレに、“いくつなの”と聞かれたから、杏さん大変‼︎“31歳”なんて言ったら絶対に引かれる。

ヤマネコ尚樹だけじゃなくて、ケダモノ碧都にだって、もっと“ばばぁ扱い”されるんだ…。あぁ、嫌だよ。こんなの‼︎もう今すぐ帰りたい‼︎

ううん、昨日に戻って彼らに会わない日にしたい‼︎だけど、ここには魔法使いだっていないんだ。

これは現実。わたし自身が、乗り越えなきゃいけないんだから…。