年下オトコたちの誘惑【完】

そんなピリピリした空気の中、碧都でも眞一郎でも尚樹でもない声が聞こえた。

「あっれぇ?こんなところにおったんかぁ〜⁉︎」

その人は、麦わら帽子を被ってて、変な関西弁を使っていた。

「また、変なの増えた…」
「えぇ?なになにー?変なのて、ボクのことかいな?」

やっぱり変…。関西弁って、テレビでしか聞かないけど、絶対この人が使ってるの変だよ…。

「あ、楓くん‼︎おはよう‼︎」
「おー、シンちゃん‼︎おはようさん」

“楓くん”ねぇ…。ワンコロ眞一郎が“楓ちゃん”って呼ばないってことは、年上なのか…?

「あ、お姉さん‼︎紹介するね!楓くんだよ!」
「いや、今名前聞いたし」

もっと他の情報ちょうだいよ。“楓くんだよ”って言われて、なんて答えたらいいのよ。

「お、もう名前覚えてくれたん?嬉しいわぁ」
「あの、なんですか。その変な関西弁」

ニコニコ笑顔の変な関西弁を使う“楓くん”に、つい冷たく当たってしまった。

「あー、楓くんはねぇ!関西弁が好きな東京人なんだよー‼︎」
「は?なにそれ…」

だから、変な関西弁なんだ。まぁ、納得はしたけども。よくいるよね。

わたしもたまに、“ホンマや‼︎”って言っちゃう時あるし…。でも、決してバカにしてるわけじゃなくて、その言葉に魅力があるからで。

方言って結構キュンってきたりするし。彼のは、ちょっとよく分からないけど。

やっぱりわたし、変な集団の中に入っちゃったなぁ…。