「だから、ほら。着ろよ」
「で、でも…」
「助けてやるって言ってんだろ?」
「う、うん…」

さっき両手を前に出した時に、ギュッと握った布。ライオン碧都に言われて、仕方なく、その渡された布を広げてみた。

「ちょ、なにこれ…」
「俺の趣味?」
「はぁっ⁉︎」

広げた布は、白のホルターネックビキニ。
バスト部分にワイヤーが入っていて、バストがふっくら大きめに見える感じで。
それでいて、胸の前で結ぶ感じなのかな、これは。

上下ともに、縁取りにチュールレース。
2段フリルでボリュームがあって。
可愛い、すごく可愛いんだけど…。

「こんなの着れるわけないでしょ⁉︎」

グイッと突き返した。

「そうか?お前、ばばぁだけどスタイルよさげだから似合うんじゃね?」
「……っ。あのね‼︎」
「ん?」

はぁ、なんか疲れてきた…。すっごく体力が減った気がするんだけど…。今日はグッスリ眠れそうだ。

「どうして、わたしなのか説明しなさいよ。じゃなきゃ、やんない」

そうだよ、だって今日からオープンなんでしょ⁉︎それでいて、わたしに働けって言うくらいなんだから、何かあるはずだ。

「あー。ほんとはよぉ、今日から来る奴いたんだよなぁ」
「その人は、どうしたのよ」
「んー…。ドタキャン?」
「はぁ?どうして疑問系なのよ」

怪しい…。すっごく怪しい‼︎って、わたしのアンテナが言ってる‼︎この喋り方とか、間合いとか、何かがおかしいのよ。その“何か”は分からないんだけど。