「なに?たりなかった?」

クスッと笑った碧都は、そんなイジワルを言ってくる。

素直にコクンと頷けば、驚いたのか碧都は目をまんまるくさせた。

けど、すぐにその顔はガラリと変わり、ふんっと鼻で笑った。

「じゃぁ、オトナのキスしようか」

その言葉の通り、わたしたちが今までしてきたキスとは違って、何度も角度を変えては碧都の想いのこもったキスが降ってくる。

「杏、口開けて?」

こ、こんなこと言われたのは初めてで、一瞬ためらう。

「ほら、早く。アーン、して」

なんだろう、この感じ。手慣れてるっていうか…。

逆にイラッとまでしてしまう。

「へぇ〜。無視すんだ?」

だって碧都が…悪い、じゃない。

ふてくされ気味のわたしに、顔を近付けたまま、にこやかに笑う碧都がいて。

それをチラチラと見ていると、シュルッという音が聞こえた。

「あっ、」
「隙ありー」
「んぁっ、はぁっ…」

シュルッと音がしたのは、わたしの着ていたバスローブの紐をほどく音。

それに思わず声をあげたところを、碧都の舌がためらいもなく入ってきた。

なにも考えられないくらい激しいキスに、頭がボーッとしてくる。