「おせぇぞ」

あの後、三人で海の家に行くとヤマネコ尚樹とワンコロ眞一郎が言ってた通り、ライオン碧都が怒っていた。

というか、多分これが彼らが言ってた“スネてる”なんだろうか。少し悩んでるとワンコロ眞一郎が小声で話しかけてきた。

『あーやって睨んでるけど、あれはスネてる時の睨みなんだよ』
『そ、そうなの⁉︎』

慌てて、わたしも小声で返した。そこに、ヤマネコ尚樹も入ってきた。

『そうそう。マジでキレたら、あんな睨みじゃきかねぇし』
『えぇっ⁉︎』

いや、だって、じゅうぶんな睨みだよ?あれ…。マジでキレたら、あれよりすごいの…?

『うんうん、ボクなんて初めて見た時、チビったもんね‼︎ははっ‼︎』

いや、笑えないよ…。“チビった”なんて、平気で言っちゃうワンコロ眞一郎に引いてますよ、わたし…。

『あれ?驚かせちゃった?』
『う、うん…』

アンタにだけどね。とは、言えずヘラッと笑ってみせた。

「おい、なにコソコソしてんだよ」
「あ…」

ワンコロ眞一郎の“チビリ”に気を取られてて、すっかりコイツの存在を忘れてたよ…。

「ほら、碧都スネんな。準備すんぞ」
「あぁん?尚樹、今なんつった」

ひゃん‼︎ライオン碧都の目つきが変わった、変わったって‼︎思わず、ワンコロ眞一郎の服をクイクイと引っ張った。