「杏は、俺だけ見てりゃいいんだよ」
「ばっ、バッカじゃないの⁉︎なんで碧都だけ見てなきゃいけないのよ」

すると、碧都がクスッと笑った。

「俺のこと、好きなくせに」

カァァッ‼︎と、顔が熱くなった。そんな断言されたら、なにも言えないじゃない…‼︎

「さ、冷めちゃうから。いただきます」

碧都の顔は見ずに、フォークを持ってベーコンを一つさした。

「無視すんなよ」
「わぁ、このベーコンの感じいいね‼︎」

カリカリになってる感じが、たまらない。いつも最初に一つだけベーコンを食べちゃうんだよねぇ。

「なぁ、杏」
「んっ‼︎おいしー。この焼き方好みだよ‼︎」

味も塩味バッチリで、たまらない。自然と笑顔になっちゃうー。

「まぁ、いいや。そういう杏も好きだし」
「……げほっ‼︎」

ちょぉ‼︎急に変なこと言わないでよ‼︎ベーコン詰まったじゃないのよ‼︎

思いを込めて睨むと、仏様のように微笑んでる碧都が…。

「バーカ。ちゃんと、噛んで食わねぇからだろ?」
「違うわ‼︎」

あー、もう‼︎美味しく食べさせてよ‼︎

「ねぇ、あんまりジロジロ見ないでよ。恥ずかしいでしょ…」

パスタを絡めて大きく口を開ければ、やっぱり微笑んでる碧都が見てて。

思わず食べずに、口を閉じた。