「もう‼︎二人でなにやってるのさー‼︎」
「ほんと、遅い。迎えに行くまで、どんだけ時間かかってるわけ」

わたしが叫んだところで、ワンコロ眞一郎とヤマネコ尚樹が登場した。

「迎えに、行くまで…?」

そんなヤマネコ尚樹の言葉が気になり、聞いてみた。“迎えに行く”って、どういうことだろう?

「あぁ、碧都のヤツ……」
「テメェ、それ以上言うんじゃねえよ」

えぇっ⁉︎もう少しで聞けそうだったのに、ライオン碧都のせいで聞きそびれてしまった。

「え、なに⁉︎すっごい気になる‼︎」
「気にすんな」
「いや、気になるってば‼︎」
「うっせぇぞ、ばばぁ」

………っ。ばばぁ、なんて言われたら、もう何も言えないじゃない。

なによ、なによ‼︎上げさせて落とすみたいなことして‼︎やっぱりおちょくってんだろうな、コイツ。

「ほら、行くぞ」
「イヤ。離して」

さっき掴まれた腕は、ワンコロ眞一郎とヤマネコ尚樹が来た時に離れてしまったけど、今『ほら、行くぞ』の言葉とともに再度掴まれた腕を、“ばばぁ”の一言で振り払ってしまった。

わたしのほうが年上なんだし、こういうのは、おとなげないって分かってるよ?分かってるけど、腹が立ったんだもん。

「チッ。めんどくせぇオンナ。尚樹、お前連れてきて」
「はいはい」

めんどくさいオンナ⁉︎なによー‼︎どこが、めんどくさいのよー‼︎どうして、そんなことを言われなきゃいけないのよ…。

ライオン碧都は、一言喋るとスタスタと歩いて行ってしまった。どんどん小さくなっていく背中。その背中を、わたしはボーッと見ていた。

「碧都のこと、気になる?」
「ふんっ、別に」

ヤマネコ尚樹が、わたしの顔を覗いてきた。その目があまりにも真剣な目だったから、思わず顔を背けた。