「そんなことない、昨日来いって言ったろ?」
「でも‼︎お前、マジで来たのなって言った‼︎」

やだ、もう…。こんなこと言うつもりなんてなかったのに…。でも、やっぱりイヤだったよ、わたし。

「冗談に決まってんだろ?お前が来るの待ってた。ほら、行くぞ」
「……っ」

なになに、なんなの…。『お前が来るの待ってた』なんて…。そんな卑怯なセリフ言ってくれちゃって‼︎そんなこと言われたら、体が熱くなるじゃない‼︎

「ぷっ…」
「な、なによ」

ライオン碧都が、急に吹き出した。急に吹き出すとか、感じ悪いー‼︎

「お前、顔真っ赤…。ぶっ」
「ちょ、ちょっと‼︎そんなに笑わなくたっていいでしょ⁉︎」

信じられない‼︎そうやって、わたしのこと笑って‼︎

「わりぃわりぃ。でも…。ぶはっ…‼︎」
「笑いすぎー‼︎このライオンめっ‼︎」
「あぁん?ライオン?この俺が?」

一瞬わたしを睨んだ、ライオン碧都。その目に怯みそうになったけど、耐えた。

「そ、そうよ‼︎ライオンみたいじゃない。見た目が」
「見た目?へぇ〜。でも俺、中身もライオンかもなぁ」

中身もライオン⁉︎ライオンって、どんな性格だっけ?え?全然わかんない‼︎

「教えてやろうか?俺がライオンだってこと」

そう言うとジリジリと迫ってきた、ライオン碧都。これはいけない‼︎と、わたしのアンテナが警告をする。

「やっ、いい‼︎遠慮しとく‼︎」
「遠慮なんかすんなって」

遠慮なんかしてないっつーの‼︎近寄んな‼︎それ以上は来ないでくれっ‼︎

「つーかまえたっ」
「ひっ…‼︎」

来ないでほしかったのに、そんな考えも虚しくライオン碧都の手に捕まってしまった。

「でもなぁ。俺、外でヤんの好きじゃねぇんだよなぁ」

ヤ…。ヤるって…。こ、この…。

「ケダモノーっ‼︎」

この日、一番の大きな声で叫んだ。