年下オトコたちの誘惑【完】

「杏の気になるオトコって、あの責任者だろ」
「えっ⁉︎」
「あれ、違った?」
「ううん…当たってる…」

座ってすぐに、悠ちゃんの発言。悠ちゃんは、やっぱりスゴイや。

なんでも分かっちゃうんだもん。わたしが驚くと首を傾げ、クチビルを尖らせ考え出した。

でも当たってるから、すぐに認めるわたしは、スゴく恥ずかしい…。

「両想い、なんだろ?」
「えぇっ、そこも…?」

悠ちゃんって、エスパーなんだろうか…。どうして、分かったんだろ…。

「だって、さ…」

悠ちゃんは、クスクスっと笑った。

「俺が登場した時、風呂の話した時、15分借りたいって言った時。すっごく睨まれたからね」
「そう、なの…?でも、碧都はもうわたしのことなんか、なんとも思ってないよ…。オンナから奪えば、って言われたし」

碧都が分からないよ。わたしには、そう言ってさ。

でも悠ちゃんには、睨みつけて。

「オンナから、奪うってどういう意味?」
「真哉のオンナのこと」
「ん、話したの?」
「まさか…。言えるわけないでしょ…。たださっき職場の先輩が来て、あーだこーだ喋ってったの」
「あー、そういうこと」

悠ちゃんは、全部知ってる。真哉のことも、オンナのことも。

真哉と付き合うことになった時は、反対されたんだよね…。

それでも『好き』の気持ちが勝って、反対を押し切って付き合った。

反対を押し切るなんて、父親みたいだけど。

でも、それくらい悠ちゃんは、わたしを妹、家族だと思ってくれてる。

結果、こんなことになってホント情けない…。

それでも悠ちゃんは、わたしを励まし慰めてくれた。