年下オトコたちの誘惑【完】

「へぇ〜。杏、水着似合ってんじゃん?また胸大きくなったんじゃない?」
「や、やめてよ‼︎恥ずかしいでしょ…」

悠ちゃんはみんなの視線に気付いているんだろうか…。

いや、気付いてるよね。悠ちゃんは、スゴく敏感だし。

阿部さんみたく、空気を読めない人じゃないから。

「なに今更、恥ずかしがってんの。ずっと風呂だって入ってたじゃん」
「あっ、あれは昔の話でしょ⁉︎」
「えー?そうだっけぇ?杏が、こうこ、」
「あーっ‼︎‼︎もうそれ以上は、ダメーっ‼︎」

もう、とんでもないことを、ぶっこんでこないでよ‼︎

確かに高校になっても、たまに入ってたわよ‼︎

でも、それは悠ちゃんがホントのお兄ちゃんみたいな存在だったから…。

「はいはい。分かったよ。で?ここの責任者さんは、どなた?」

悠ちゃんは、ガン見してる三人を順番に見て言った。

「…俺っす」

そう言ったのは、碧都で。それを聞いた悠ちゃんは、ニヤリと笑った。

「ふぅん、そう。あのさ、杏と話したいんだけど、15分くらいコイツ借りてもいい?」

悠ちゃんの言葉に一瞬戸惑いを見せたものの、すぐに『15分くらいなら…』とOKを出した。

「ありがとう。じゃぁ、杏おいで?」
「う、うん…。みんな、ごめんね?お話だけしてくるからっ」

スゴく視線が気になった。眞一郎でさえ、オンナノコと喋ってたのを中断して、わたしたちを見ている。

どっか遠くに行きたいな、と思ってたのに、悠ちゃんが選んだ場所は、海の家の真ん前にあるベンチ。

目の前と言っても、声が聞こえないくらいの距離。

「座ろっか」
「…うん」

悠ちゃんの言葉に、わたしは素直にチョコんと座った。