年下オトコたちの誘惑【完】

悠ちゃんに話を聞いてもらって落ち着いたわたしは、鞄から小さな手鏡を出して目の腫れを確認した。

「これくらいなら、大丈夫かな…」

一人頷くと、手鏡を鞄にしまい碧都や、みんながいる場所へと戻った。

「碧都」

わたしが声をかけると、碧都は何も言わずに場所をずれた。

これは、多分わたしがココにいてもいいってことなんだと思う。

せっかく、たこ焼きクルクル覚えたんだもん。頑張りたい。

「杏、慣れたんじゃない?」
「あ。尚樹。そうかな?」

ちょうどヒマな時間帯らしく、尚樹がわたしの隣に来て話しかけてきた。

「あぁ。碧都の教え方がよかったのかな?」

そう言って尚樹は、碧都を見るも反応ナシ。

『なぁ、またお前たち何かあった?』

小声で尚樹に聞かれるも、苦笑いするしかできなかった。

碧都は、あれから一言も喋ってはくれないけど、サポートはしてくれる。

隣で焼きそばを焼きながら。チラッと見ては、クルクルが遅いと、さりげなく手伝ってくれたりして…。

「あー、見ててイライラするわ」

チッ、と舌打ちをしてイライラ感を出したのは尚樹で。

「なぁ、今ヒマだし。どっか行こうか」
「え、でも…。たこ焼きクルクルしないと」
「そんなの碧都に、任せればいいだろ。なぁ、碧都?いいよな?別にお前の杏じゃないんだし?」

尚樹の問いかけに一瞬ピクリと眉が動いた気がして、黙ってソレを見ていると、何か言いかけた。

でも…。

「よぉ、杏。待ったか?」
「悠ちゃん…」

悠ちゃんの登場に、碧都も尚樹もレジにいた楓も、一斉に悠ちゃんに注目をした。