「ココで何してるのー‼︎」
「あははっ、何か働くことになっちゃいまして…」

阿部さん。とてもいい人なんだけど、この人ちょっとお喋りさんだから…。

余計なこと、言わなきゃいいんだけど…。でも、わたしの不安は的中することになる。

「もぉ、急に会社辞めちゃうんだもーん‼︎ビックリしたわよ‼︎」
「す、すみません…。ご迷惑おかけしまして…」

早く帰って欲しい。それだけが、今のわたしの願い。

眞一郎こそ近くにいないけど、楓も尚樹も、もちろん碧都も近くにいる。

「それは、いいんだけどー‼︎もう、てっきり課長と結婚するのに寿退社だと思ってたのにー‼︎婚約破棄になったんだってぇ⁉︎」

一番触れてほしくない話題に、ガツガツ入ってくる阿部さん。

わたしはというと、たこ焼きをクルクルするのに手が震えてきて、さっきまでうまく回せてたのが、できなくなっていた。

「ねぇねぇ、どうして課長と別れちゃったの⁉︎課長に聞いても教えてくれないのよねぇ。ただ、“俺が悪い。アイツは悪くない”ばっかでぇ‼︎」

真哉は自分が悪いって、会社の人に言ってるんだ。

確かに浮気をしたのは、真哉。でもきっと、浮気をさせたのは、わたし。