「全部入れたか?入れたら、このダシを入れるんだけど…」

そう言うと、碧都の言葉が途切れた。

「悪りぃ、深い意味はないから気にすんなよ」
「ん?……って、」

わたしにダシを持たせ、その後ろから碧都が『こういう感じな』と、コツを教えてくれた。

多分これのことを言ったんだと思う。深い意味はない、って。

わたしが変に思わないように…。

「イヤじゃなかったか…?」
「えっ、あ、うん…。大丈夫っ」
「そっか…」

途切れる会話。たこ焼きクルクルしたいなんて、言って良かったのかな。

逆に碧都には迷惑だったんじゃ…。なんて、色んな思いが駆け巡った。

そのあとすぐに、紅生姜や天かす、ネギなどを二人で入れた。

「そろそろ、だな」
「そろそろ?」
「あぁ、やりたかったんだろ?たこ焼きクルクル」
「……っ、うん」

碧都が、クスッと笑った。今日初めて笑ってくれた。

あー、わたしどうしよ。泣きそうなくらい、碧都のこの笑顔にヤられてる。

「また、後ろから見本…見せてもいいか?」
「う、うん…。いいよ…」

わたしの後ろに碧都が来ると、碧都よりも小さなわたしはスッポリと包み込まれるように抱かれ、たこ焼きクルクルする器具をわたしに持たせると、その上からわたしの手を握った。