「はぁ…。お前、道迷ってた?」

深い溜め息とともに、上から落ちてきた言葉。

飽きれてる、よね…?31にもなって、迷子とか、恥ずかしすぎるっ‼︎

「あの、思ったより暗くて…」
「は?夜なんだから、暗いの当たり前だろうがよ。道分かるんじゃなかったのかよ」
「分かるつもりだったんだけど…」

23に叱られる31…。情けなさすぎるっ。

「ったく、心配かけんな」
「し、んぱい…。してくれた、の…?」
「アホか、お前。眞一郎なんか泣いてんぞ。楓なんか、警察に捜索願い出すとか言い出すし。冷静な尚樹でさえ、客帰らせてお前探すとか言い出すし」

眞一郎、心配して泣いてくれたの?

楓、捜索願い出そうとしてくれたの?

尚樹、わたしを探そうとしてくれたの?

じゃぁ、碧都は…?三人には心配かけて、申し訳なかったって思う。

でも碧都は、どうなの。心配してくれたのかな…。

仕方なく、わたし探しをしてくれたの…?

「あお、と、は…?」
「あ?」
「あのっ、碧都は…。心配、してくれ、た…?」

なんて答えてくれるんだろう…。聞きたくないけど、聞きたい…。

「言わなきゃダメなの、それ」

あっ…。聞かなきゃ良かった…。きっと碧都は、仕方なくわたしを探してくれたんだ。

みんながテンパってるから、一番冷静だった碧都が、仕方なく。

せっかく止まった涙が、また溢れてきた。見られたくなくて、ゆっくりと俯いた。