年下オトコたちの誘惑【完】

その時。

ーガサッ…‼︎ー

そんな音が確かに聞こえた。一気に背筋がピンとなる。

心臓もバクバクしてきて。これは、どうするべき…?

見たほうがいい?いや、でも見て、もっと恐怖心が募るかもしれないっ。

じゃぁ、どうする?答えは、『逃げる』しかない‼︎

わたしは後ろを振り返ることもせず、スタッ‼︎と立ち上がると、思いっきりダッシュした。

「……っ、」

ダッシュなんて、何年振りよ‼︎ったく、しかもココどこよ‼︎

とりあえず、全力で走った。けど、足音は遠くなるどころか、だんだん近付いてくる。

やっ、やだっ‼︎わたしなんかを襲って食べたって、美味しくないわよ‼︎

「……わっ‼︎」

あー、自分がスローモーションで倒れてく…。

わたしこの人に捕まるんだ。なに、されちゃうんだろ…。

お願いだから、命だけは助けてほしいっ。心の中で、そう願う。

って、わたしさっきコケタはずなのに、もう痛みがあってもいい頃なのに、全然痛くない。どうして…?

「アホ、お前なにやってんの」

えっ、あれっ⁉︎わたし、誰かに抱きとめられてる⁉︎

あ、そうだ‼︎痴漢‼︎わたし、とうとう痴漢に捕まったの⁉︎

「やっ、やだっ‼︎離してっ‼︎」

わたしは、その“痴漢”の腕の中で暴れた。