年下オトコたちの誘惑【完】

「遅い」

入って早々聞こえたのは、尚樹の声。グルリと周りを見れば、一軒家のリビングのような広さで。

そこにカウンターがあって、一人の女性が座っていた。

壁には可愛いイルカの時計がかかっていて、少し高めの丸いテーブルと丸い椅子が3つほど。

その一つの席には、サラリーマンだろうか。二人男性が座り、お酒を飲んでいた。

「悪りぃな、杏ちゃんとたくさんイイコトしてたら、遅くなってしもうた。な、杏ちゃん?」
「えぇっ⁉︎そんなことっ…‼︎」

したけど…。なにもここで、しかもみんなの前で言うことじゃないでしょ…‼︎

「杏ちゃん、頬っぺた真っ赤‼︎ホントに、楓くんとイイコトしちゃったの…?」
「…するわけないでしょっ」

もう繰り返さないでよ、眞一郎‼︎

「通りで遅いと思ったんだよ。お前に頼んだ俺らがバカだったわ」
「いやいや、無理矢理やないし。杏ちゃん、ボク強引にやってないよね?二回目のキスは」

なっ、ななな、なんちゅーこと言ってくれてんのよ‼︎

なに、そのドヤ顔は‼︎もう、みんなのこと見れないじゃない‼︎

「杏、それホント?楓を選んだってこと?」
「えぇっ‼︎いつの間にそんな関係になってたの⁉︎ズルイよ、楓くん‼︎」
「いやっ、待って‼︎わたし、楓とは別にそういうんじゃ、」

ーバリンッ…‼︎ー

突然、カウンターの中からガラスの割れる音が響いた。