年下オトコたちの誘惑【完】

「あー、もう。グダグダ悩まないの。ほら、手繋ぐ‼︎」
「あ、ちょっ…」

強引に奪われ、繋がれた手。楓の手は、もちろんオトコだから、わたしよりもずっと大きくて。

温かい手…。いつ振りだろうか…。こんな温かい手。

「杏ちゃん、どないした?」
「…ううん。なんでも、」
「なんでもないこと、あらへんよ。スゴく悲しそうな顔してる」

だって、こんなの気持ちが付いていかないよ…。

こんな年下のオトコたちに、優しくされて。(優しくないオトコもいるけど…)

手も繋いじゃったりして、さ。

「そんなことないよ。ただ、ちょっとこんなことされるの、久しぶりで…」
「それだけ?」
「やだぁ、それだけだよ」

笑って、空いてるほうの手でペシッ‼︎と、楓の肩を叩いた。

「…そっ」

心配かけちゃったかな…。納得のいってない表情の楓。でも…。

「ありがとう、楓」

わたしが笑うと、仕方なしに笑ってくれた。

楓と、くだらない話をしながら歩くこと15分。

一軒のお店のようなのが、目の前に現れた。

「ココやで」
「…ココは?」
「まぁ、入ってみたら分かるて」

背中に手を置かれると、緊張してしまう。

ココには、なにがあるんだろう。誰がいるんだろう、って。

ためらいながらも、楓の押されるままに、この扉を開けた。