「ほな、行こか」
「う、うん…」

クスッと笑った楓は、色気がたっぷりで。その色気っぷりに、クラッときた。

もう外は薄暗くて。夏だからかな。真っ暗になるのが、だいぶ遅いんだよね。

楓が前を歩いて、わたしはその後ろを歩く。

後ろから見ても楓は、イケメンで。あ、でも少し後ろの髪ちょっとだけ跳ねてる。

チラチラと、その跳ねた髪を見ながら歩いてると道路沿いに、たどり着いた。

「じゃぁ、わたしアッチだから…」

軽く手を振って、楓から逃げるように帰ろうとしたんだけど。

「なに言うてんの。杏ちゃんも行くんやで?」
「えっ?ど、こに…?」

わたし、まだ家に帰れないの⁉︎何か、ドット疲れそう…。

「それは行ってからの、ヒミツや」
「えぇっ…」

怖いんだけどぉ…。ヒミツで連れてかれるとか、やめてほしい。

「大丈夫やて。変なとこやないから」
「変なとこだったら困る」

睨みつけると、まったく気にすることもなく、楓は笑う。

だからっ、その笑顔っ‼︎反則だってば…。

「ん」
「え、なに?」
「もー。手や、手」
「手…?」

目線を下に下げると、わたしのほうに手を差し出してる楓の姿。

これは…。繋ぐべき…?断るべき…?