「メッチャ忙しくて杏ちゃん、あーちゃん呼びに行ったやん?でも戻ってきたのは二人やなくて、あーちゃんだけ」
「でもっ、わたし。疲れて、寝ちゃって…」
「ちゃうって。そこやなくて、あーちゃんの顔つーか、雰囲気がいつもと違ったんや」

碧都の雰囲気が、いつもと違った…?どんな風に…?

「あーちゃんと、なんかあったんやろ?」

でも、楓に何も聞けなくて。楓の質問に、わたしは『……うん』としか言えなかった。

「そうか。うん、とりあえず出よか」
「えっ、何があったか聞かないの…」
「聞いたら教えてくれるん?」

あー、楓って優しい。ただのチャラ男じゃないんだよね。

「でも、あーちゃんのことキライにならないでほしいんや」
「えっ」
「あーちゃん、あー見えて。えぇ奴やねん。だから、ホンマキライにならんといて?」

そんでもって、友達思い…

「あー、でも。どうしてもボクがええなら、いつでも歓迎するで?」

じゃなかった…。

「楓ってさぁ。どれがホントの楓なの?」
「なんやそれ。これがホンマのボクやで。杏ちゃんだけに、ボクは優しいんや」
「ウソばっかり。わたし、知ってるんだからね?」

冷めた目で、楓を見上げた。