「大丈夫なの。」


確信に満ちた声。



なぜだか、心の中を覆っていた灰色の雲が、薄くなった気がした。


幼い少女の、『大丈夫』という言葉に。





「あたしがついてるんだから、大丈夫に、決まってるでしょ?」


少女が振り返って、また、あの、鮮やかな笑顔を見せた。





「雨に濡れても、平気だよ。

あたしがいるんだもん。

大丈夫。見捨てたりしないから。」



確信に満ちた声。


そこには見栄もプライドさえも窺えなかった。




感じたのは、威厳。


この、あまりにあどけなく見える少女に、あまりに不釣合いな言葉。




口を閉じた。

前を向いた少女に、黙って付いていく。



解らない。

何も解らないけれど・・・口に出せないと思った。


怖くなった。


この少女が、タダモノではないと、なんとなく悟ったから。