「ゆかってマジ美人じゃないっ?」

「桃も可愛いけどそれ以上!!」

「ゆかは学校1可愛いよー」

「うわーナニソレお世辞ー?」

中学校に入り、美人な子は沢山いた。
私もその中には入っていたのだろうが
トップクラスではなかったのだ。

「お母さん!桃のクラスにさ、
ゆかって可愛い子がいるんだよー」

「あら、桃より?」

「そ!全然美人!」

そして姉や母も認める美人な子がいた。
ゆか、という名前の子だった。



「ゆかって絵も上手いねー」

「私、ゆかの絵好き〜笑」

『で、でも私はこの絵は好きじゃない』

…私はプライドが高かったのだ。
前まで私を褒めていた子が、
他の子を褒めているのが、嫌だった。
私より、認められているその子に
劣等感を抱いたのだ。

「えー、桃はそう思うんだ?」

「てか私より絵、
下手な桃に言われたくないよ。」







ヤッテシマッタ。







「…えー、ひどーい、冗談だよー」

慌てて冗談にしたが、ショックだった。
自惚れていたのだ。
小学生にしてはまあまあできていた、絵
中学校では通用しなかった。
私より上手い子が、いるのだから。
そしてその子にハッキリ言われた。
嫌味なわけではないのだろう。
だからこそ、辛かった。
ライバルにさえなる資格も、ない。
同じ土俵にも上がれない。
さらりと、そんなことを言う、
私よりも美人で絵が上手いその子に、
私も好きだった友達のゆかに、
些細な嫌悪を、覚えた。