ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~

「……うん、そうよ」


私はちょっと考えてからそう答えた。恭子の事は母もよく知っているから問題ない、と思ったのだけど、それが逆にアダになってしまったみたいで……


「それは変ねえ……」


すかさずそう返されてしまった。


「な、なんで?」


もしかして、母は恭子と電話で話したのかも。一瞬そう考えて焦ったけど、それはない。だって、母は恭子の電話番号を知らないはずだから。

では何が変なのかな、と思ったのだけど、


「だって、それが本当なら、恭子ちゃんのお宅に泊まらせていただくから、ってメールに書くでしょ? “友達の家に”じゃなくて……」

「……!」

「それに“ですます調”なんて、あなた、私に使った事が一度でもあったかしら?」


あちゃー。やっぱり母は鋭いわ……

私は観念し、母に本当の事を話す事にした。もちろん新藤さんの事を。母に隠す必要はないと思うし、それどころか、話せば相談に乗ってくれるかもしれないから。


「実はね、あのメールを送ったのは私じゃないの」