お昼になり、私は新藤さんと一緒に職場を出た。昨夜お酒を飲んだ課長達3人とアイコンタクトをとりながら。


「会社のすぐ近くにちょっとお洒落なレストランがあるんですが、そこでよいでしょうか?」

「うん、君に任せるよ」


それは高層ビルの一階にあるレストランで、制作チームの主任さんがお気に入りなのだけど、私もかなり気に入っている。特に窓際の席は明るくてとっても雰囲気がよい。


早めに来たおかげで、その窓際の席に私達は座る事ができ、ランチのステーキをオーダーした。窓から見える街路樹の葉っぱは黄色に色付き、時々ハラハラと舞い落ちていた。気がつけば、もう秋は終わろうとしていた。


「いい感じの店だね?」

「ですよね? お料理も美味しいんですよ?」

「だろうね。ここは夜……」


なぜか新藤さんはそこまで言い掛けてやめてしまった。私は、たぶん新藤さんはこう言おうとしたんだろうと思い、


「はい。夜来たら、もっと素敵なんです」


と言ったのだけど、新藤さんは無言で頷くだけだった。