「考え込んじゃって、どうしたの?」

「新藤さんの娘さん、まみちゃんっていうんだけど、今ちょうど3歳なのね。大人しくて聞きわけが良くて、すごくいい子なんだけど、いい子過ぎるんじゃないかって、逆に心配になって来ちゃって……」

「ああ、そういう事ね。その子の性格によるから一概には言えないけど、ご家庭の事情を考えると、確かに心配ね……」

「家庭の事情……?」


ああ、そうか。まみちゃんの母親はあの子が1歳の時に亡くなったのだし、自殺したって事は心を病んでいた可能性が高いわけだし……


「もしもだけど、その子が自分を抑えて我慢する事を覚えてしまったのなら、とても可哀想ね?」

「我慢? そんなあ……」


私とお風呂に入るはずが、それが出来なくて悲しそうにしたまみちゃんの顔を私は思い浮かべた。あれについては私は当事者だから反省しないといけないのだけど……

いつもまみちゃんはああやって我慢してるんだろうか。ずっと前から、いつもそうして来たのだろうか。だとしたら、まみちゃんがあまりに可哀想に思え、私は胸がギューっと締め付けられる想いだった。