というのは、美沙さんの、まみちゃんに接する態度にちっとも愛が感じられなかったから。

昨夜、まみちゃんがちょっとグズった時、美沙さんは“いい子にしなさい!”とか怒鳴ったけど、あの時の声音には愛情の欠片も感じられず、むしろ憎しみのようなものを私は感じた。あくまで私の感性ではだけど。


あるいは、義務感?
亡くなったお姉様のためとか、見るに見兼ねてとか。それは十分にあり得ると思う。でも……

それにも違和感がある。私には、美沙さんがそれほど義理堅い人、あるいは優しい人には見えなかったから。申し訳ないけども。むしろ逆に、冷たい人という印象だ。


となると、残る理由はひとつだけじゃないかしら。つまり、美沙さんは新藤さんに想いを寄せている、という事。新藤さんはこんなに素敵なんだもの、十分ありえるんじゃないかしら。もしかすると、由梨さんが生きていた頃からなのかも。

もちろん私の勝手な想像だけれども、そう思って間違いないんじゃないかと思う。


そう言えば、美沙さんの私を見る目はとても冷たかった。敵意すら感じるほどに。それはたぶん、私を警戒したのだと思う。新藤さんに近付く女として。実際にそうなんだけど。


という事は、美沙さんは私のライバルという事になると思う。しかも新藤さんやまみちゃんに人目をはばからずに接近できるという、強烈なアドバンテージを持つライバルという事に……