「ゆ、邑くんがですね、体調を崩したのできました!」
我ながら嘘が上達している気がする。
脳内でポンポンと設定を並べ、似合った言葉を口にする。
「…風邪?大丈夫かな」
百瀬に心配されてるぅうううっ
悶えそうになりながらも、ゆーちゃん演技続行!
「大丈夫ですよ、柚邑くん丈夫だし」
「そう…?あ、これ。柚邑くんに渡して」
そう言って、本を渡してくる。
借りる約束をしていたものだ。
「ありがとうございます。じゃあこれで」
惜しいが、去ろう。
ボロの出ないうちに。
「待って!」
呼び止められたのは、かなり意外だった。
…てかいい加減寒いぞ。


