「帰るの!?早いわ、ううん今日は遅いから泊まっていきなさい!」
どっちなんだ。
「あ、それさんせーいっ!お風呂を是非ともにしたい」
下心しか見えない妹が怖い。
「あの…今日は厘介くん家に泊まらせてもらうことになってて」
さっきの言い訳を使うことにした。
多少無理があるが、軌道修正はきかない。このまま突き進むしか道はないのだ。
「あら、厘介くんのとこに?じゃあ忘れてたけどあの子も?」
……忘れてたけどいらなくない?
「は、い…柚邑くんも」
家族の中でいらない存在なのか俺。
とにかく、流暢に話してる場合じゃないのだ。
「では、夕飯ごちそうさまでしたっ!またきます!」
逃げるように足踏みしながら、言い終わると反動をつけて走り出す。
「でわっ!」
そうして俺は、俺の靴を履いてダッシュで神社へと向かうのであった。
なんで靴履いてるの?とか聞かれないのは、我が家がバカだからだろう。
助かった。


