気がつくと、黒庵さんの部屋にいた。



黒庵さんの布団で寝ていたらしい。



ムクリと起き上がると、スズが心配するように横たわって眠っていた。


起こさないようにそっと布団を抜け出すと、茶の間に出た。


「おう、起きたかの」

「おはよう、おにーさん」

「…よく寝れたか」

「スズったら心配して離れないんですよ〜」



各々が俺が起きたことに対してのリアクションをする中。





「よっ」





朱色の長い髪をそのまんま下ろした、パーカー姿のアカネがいた。





「よ、よ…」







俺ははじめて、アカネと対面した。



ずっと一緒にいたのに、真正面にいるのが不思議で、嬉しくて、なんだかむず痒い。


「あ、あの、体は…」


「お前さんのおかげで絶好調よ!あいつもね」




アカネが指さす先には、苑雛くん。


いつもの小さい可愛い姿ではなく、異界にいたときの大きな青年のままだ。



そう、竹の実をふたつ食べたお陰で、あまった霊力を苑雛くんに分けてあげたのである。



「ありがとうねおにーさん!でも僕幼稚園あるから小さい姿で活動することになっちゃうんだけど…」

あ、そうなんですね。実生活がありますもんね。


アカネもなにか気まずいのか、頬をポリポリかきながら、「あー」だの「んーと」だの言ってから。


「あの…ありがとう。お前のおかげで鳳凰全員が助かった」



お礼を言われ、こっちまで恥ずかしくなる。

「大したことしてないよ。1番頑張ったのはスズだし」

「話はお父さんから聞いた、でも柚邑も頑張ったよ」

アカネは俺に近寄り、ぎゅっと抱きしめて。



「ありがとう」


ずっと一緒にいて、あんなに話したのに、初めて触れ合得たことが嬉しくて。


俺は少しだけ、泣きそうになった。


「柚邑!起きたの!?」


パン!と茶の間の襖が空いて、スズがでてきた。

「あー!アカネさまと抱きついてる!黒庵さま!浮気ですよ浮気!」

「いんだよ頑張ったんだからそれくらいさせてやれ」

「そんな!!」


さっきまで神々のゴミ捨て場にいたのに、そんなこと微塵も感じさせないほど和やかで。


出そうだった涙も引っ込んでしまった。