「弱ってるんであんまり量はだせないんですけど……」
地面に向けていた手のひらを離し、空をつかむような真似をする。
すると、その水が意志を持ったかのように一気に龍めがけて動き出し、その手のひらの通りに龍の首を捕まえた。
驪さんは左手で空を掴みながら、右手を手刀代わりにしてぺしっと空を切った。
刹那、首がごとりと音を立てて落ちた。
「……す、すご……」
すごい、見た目は病弱な薄幸の美少年なのに。
通販ショッピングの最中、実演として商品の水圧ホースでキュウリを笑いながらガバガバ切るのとおなじやり方で龍やりやがった。
思わず目を見張って呆然としてしまう。
驪さんの手は空をさまよってから、ちがうものを掴んだ。
水もその通りに次の首へ移動し、龍の動きを押さえつけた。
ぐぐ、と首が水によって地面に横たわる。
「さあーゆーちゃん!出番です!」
「やっぱりやるんですね……」
とてもじゃないがにょーんなんて擬音で切れる気がしない。
ああ、嫌だ、逃げたい。とても。
恐怖で心臓が口から出そうになる。
押さえつけられてもなお動くそれに、いやな動きを心臓は繰り返す。
そういえばスズはあんな小さな体で戦うんだなぁ。
……スズは、今、どこにいるんだろう。
「……アカネ」
“なんだ?”
「さっき熱が引いたのって、スズが死んだからとかじゃないよね……」
“それはない、繋がりが切れたらもっとわかりやすく霊力を持ってかれる。つーか霊力の過剰摂取で壊れるような体してない”
「……だよね」


