妄想世界に屁理屈を。

とにもかくにもやらねばならぬと刀を持ちかえる。
ちゃ、と金属と金属がかるくぶつかる音。
にぎにぎとをにぎっていると、少し重みが馴染んだ気がした。

そういえば驪さんは何の武器だろうかと振り向けば、素手。
相変わらず細くて白い手のひらには何も握られてない。

「え、れ、驪さんどーするんですか?」

「へへへ、舐めないでくださいよー?私だって神様です」

ぺろりと舌舐めずりして、手のひらを少し湿った砂利の地面に向ける。

目を閉じ、一言。

「協力してください」

いつもの通りの慈しむような声音でなにかに語りかける。
何をしてるのかと聞こうとして、地鳴りに気がついた。

ごごご……と、まるで余震のように揺れている。
あの龍がうねってるからかと思ったが、それとは明らかに違う規則的な音。
そしてそれは近づいてきていて──

下の岩が割れ、そこから温泉でも湧き出したかのように勢いよく水が溢れ出た。

「わ、わぁっ」
突如起こった自然の噴水に驚いていると、その水に小魚がいるのがわかった。

魚?
ていうことは、これは川の水?

さっき言っていた、『幸いかわもありますし……』の意味がわかった。

これは、驪さんが川から水を引っ張り出してるんだ。