すると、ふいに太刀が消えた。
ふっと霧のように霧散し、鸞さんが吠える。
「黒庵!」
「ほら」
そして彼は、銃を渡した。
漆黒のやけに大きい銃。
「……これなら力がなくても行ける。霊力使うの器用なお前なら、玉を作って飛ばすことくらいできんだろ」
「あ、ありがとう…」
たしかに太刀では分が悪すぎた。
受け取った彼女は、それをヤマタノオロチ……もとい、ムッツノオロチに構える。
「銃なんて使うの初めてじゃが……神の加護あれ」
自分で言って面白かったのだろう、ちょっと笑って。
ガウンっ──弾けるような音を立てて、首の一つに命中する。
一つが馬鹿でかいから撃ちやすかったみたいだ。
大穴を開けて、ごとんと首が落下した。
反動で尻餅をつきながら、それを見届ける。
「や、った。やった!」
きゃあきゃあと喜ぶ鸞さんは、やけに可愛かった。
「んむう…主ばかりにかっこいいところ見せられませんね」
いやいや、と言った感じで、苑雛くんが黒庵さんのところへ向かう。
「黒庵、矛を2つお願い」
「こき使いやがって。……これでいいか?」
「うーん、もうちょっと小さいのがいいな」
「これでいけ」
「鸞様と扱いがちがう…雑だ……」
大きいよ、重いよ、とぶーたれながら。
苑雛くんはネックレスにキスをして、呟いた。
「でておいで」
ネックレスをしたに置くと、アカネの召喚の時のように男の子がひとり出てきた。
「──殺戮なんて趣味じゃないんだけど」
「まあまあ」
さらさらの金髪、目。すべてが苑雛くんとお揃いの男の子である。
今大きくなってる見た目と同じだ。
ああ、あれがもう一つの自分ってやつか。苑雛くんの能力初めて見た。
苑雛くん2は矛を受け取ると、「重いんだけどこれ」と全く同じ感想をもらした。
「行くよ」
「了解」
二人同時にかけて、首を狙う。


