「え?ど、どういうことじゃっ」
「主!見てください!」
苑雛くんが蛇を指さす。
「頭が六つ、ヤマタノオロチは文献では八つのはずです!つまりあれはヤマタノオロチではない──ムッツノオロチです!」
“な、なにそれ!?ムッツリスケベみたいだな!”
ムッツしかあってないよ、アカネ。
「そのとおり、これはヤマタノオロチではない。私が新たに改良した全く違う神だ」
「なんでそんなこと……ヤマタノオロチ伝説に普通に則ればよいではないか!」
「これは、鳳凰が最高神の子供たる素質があるかをどうか見極めるテストである。そのために、ひとりにつき一つの頭しか落とせなくしてある」
知恵と勇気と信頼と。
そんなわかりやすいSFものみたいな、綺麗事な試験だった。
「残り五つ。お前らで協力して倒すのだな」
「五つって──」
苑雛くんが呆然と、真っ青な顔をしながら。
「僕と主とゆーちゃんとお父さん、4人だよ…?あとひとりはどうすればいいの?」
「おや、鳳凰は5羽ではなかったか?」
「っ、なんて、卑劣な!」
嘘でしょ。
これじゃあ、絶対に倒せないじゃん。
呆然としてると、鸞さんがスーツみたいな上着を脱いで、放り投げる。
そして半ば強引に黒庵さんから太刀を奪って、重かったらしくおっとっととよろけた。
「鸞!」
黒庵さんが叫ぶ。
「お前っ、何してんだ!」
「闘うのじゃ」
「無理だろ、お前アカネより運動神経悪い……」
「リーダーじゃ!!」
キリッと、叫ぶ。
「わらわはリーダーじゃ!率先して、やらねばっ……」
よく見れば。
彼女の華奢な体は、ガクガクと震えている。
太刀が重すぎて地面に埋まってるが、その太刀を支える手が定まらない。足がずっと震えてる。
怖いのだ、だけど、リーダーだからと。
「……頼れるところを見せねば!」
さっきの、頼ってくれないかという言葉を思い出した。
彼女だってリーダーぶりたいのだ。


