「ひっ…あ、お、おうりゅ、さ」
黄龍さんが、鎌で俺を殺そうとしていた。
ぶるぶると身悶えして。
「やぁん、かわいい〜!怯えて震えちゃ
って…食べちゃいたくなるわぁ」
「やめてっ俺には心に決めた人が!」
「ふふ、なんにも考えられないようにしてあげる♪」
いろんな意味でやばい状況の俺に、苑雛くんが問いかけた。
「黄龍さん!なんでここに!?」
「助けてくれるのか!?」
「んまっ、誤解しないでよね。今回はワタシは中立よぉ」
鎌は殺そうとしたわけじゃないらしい。引っこ抜けば、俺の縄がはらりと解けた。
……もう少し優しいほどきかたをしてくれると。助かったけどさ。
「驪ちゃんと兄さんが兄弟喧嘩してるみたいだからねぇ。父上も気になってるようだし、見学よ見学♪」
そうだ、神々の断罪人たるこの人はゴミ捨て場に自由に行き来できるんだっけか。
「ならどうして…」
「ゆーちゃんがかわいいから!じゃなくてぇ、フェアに争って欲しいのよ」
ふぇあ?
「こんな手の込んだことしないで、正々堂々真正面から戦ってほしいの。男の子でしょう?兄さん」
後ろを振り返って、故意的にヤマタノオロチが避けている時点に赤龍に語りかける。
「永ちゃんのことは私だって辛かったわ。
けれどねぇ、“この子たちには何の罪もないのよ”。
縛り付けて勝手に殺すなんて、そんな平等じゃないの──断罪人たる私が許さないわ」
威風堂々と、気高げに。
「驪ちゃんを弱らせて縛り付けないと勝てる自信が無いなら、喧嘩なんて売らないことね♡」
愛らしくウインクして、ほかの連中は比較的優しく鎌で切ってくれた。
「驪ちゃん、結果がどうなろうが、私たちはずっと兄弟よ。それだけは変わらないわ」
驪さんを切る時にそう語りかけ、最後につけくわえた。
「──もちろん、白龍もね」
「っ、」
苦しそうに何かをいいたげに顔を上げ、迫ってくるヤマタノオロチに気づいたのか、気にかける。
「まあ、ゆっくりしてらんないわね。修羅場ってやつだわ。地獄らしいこと」


