妄想世界に屁理屈を。


「…だれ?」


「てめぇが朱雀?」


チャラい人。そう位置づけするのに一言で十分だった。

黒庵さまのような美しい冷酷さはない。

ただ若い一一野望を持った、元気の良さそうな人だった。

だけど筋骨隆々で、大きな刀を所持しているのが見えた。

怒らせたら怖そうだな。


「……そう、よ。私が朱雀よ。鳳凰の貿易を司る朱祢さまの隣に立つものよ」


だけど威厳は捨てずに。

頑張って、声を張り上げる。

そうよ、誇りを持たなくっちゃ。



「ふうん…。想像してたよりちゃっちーな!」

「なっ」


いきなりの侮辱に驚いていると。

彼は壁に縫い付けられた私を、まるで獲物でも見るかのように舐めまわして見つめ、ほくそ笑んだ。

そして声高らかに叫んだ。




「俺様は日本神話最大の英雄神一一根の国の支配者、スサノヲノミコトだ!!」


「……え、ええ!?」


それは、さすがの私でも知っていた。

日本神話では欠かすことの出来ない重要な神様だ。

中国系統の私とは直接関わらずとも、名はしれている。

日本神話の最高神のアマテラスの弟にして、ヤマタノオロチを倒し国宝草薙の剣を取り出したという英雄神。

自己紹介どおり黄泉の国、まあ根の国と言っていたけれど、それを管理している王様だ。

鳳凰でいう黒庵さまにあたる武道の立ち位置。

まあ、黒庵さまのほうがずぅっっっとかっこいいし強いと思うけれどね。


「お、知ってたかチビ!てめえなかなか見込みあんぞ」


「……」

こんなチャラ男なの!?

現実と話とのギャップに驚いて、そして頷いた。

「……もしかして、赤龍に協力してるの?」

「おう!」

いえーいとピースして。


「成功したら赤龍が最高神になるらしーじゃん?俺様の野望を叶えてくれるってゆーしよ、協力してやろうってわけ」


「野望?」


「お?なんだなんだ興味あんのか?お前世界征服とか好きな口だろ!」


馴れ馴れしいなこいつ。