妄想世界に屁理屈を。




そして宝が五歳のときだった。


忽然と母親が消えた。

人に聞いても知らぬ存ぜぬ。

敏い宝は確信した。


ああ、狐の村に帰ったのだと。




宝は慌てることなく思案した。

もちろん、故意ではないだろう。

ということは、村が強制的に連れ去ったと考えられる。

宝が倒れたとき、母親は派手に医者を探しまわった。

たぶんそれで身元が知れたのだ。



宝は母を連れ戻すべく、村へ向かうことを決意する。


匂いを辿ればわかると、母の残り香を追った。


そして、山を二つほど越えたあたりにとうとう村を見つけた。


結界など、最高神の子供の一部を宿した宝にとってなんの障害にもならなかった。
異界だからといって、決して見つけられないわけではなかった。


村に入ればお祭り騒ぎ。
皆幸せそうな顔をして、村中が騒いでいた。


嫌な予感がする、と思いながら、村の狐に九尾の所在を聞いた。


嫌な予感は的中した。