妄想世界に屁理屈を。




ジャリ、ジャリっと、音が聞こえた。



驚いて音の方を見れば、入り口の方から男が入ってきた。

紅を基調とした、金銀の刺繍が豪華な複雑な模様の着物。

長い紅の髪の毛。

病弱そうな驪さんよりも、ずっとずっと健康そうな肌色だった。

つり目の目は、どこかで見たことがある。



「待たせたな、芋虫」



その低い声でわかった。

あ、この人一一青龍さんに似てるのか。

青龍さんは少年の姿だったけれど、この人はあれがそのまま大きくなった感じ。


黄龍さんにも似てるけど、あの人は雰囲気からして明るいから、この根暗そうな人とは遠い。

驪さんは儚い感じが美少年感をアップさせてるからか、ちょっと似てない気がする。



「…赤龍か」


鸞さんがすごい目で睨みながら、確認した。

「そうだ、お前らの叔父だ」

「えー、叔父って甥縛り付けるんだー」

即返したのは苑雛くん。

子供の姿の時のつもりなのか、あどけない感じで嫌味を吐いた。


「それともやっぱり黒庵目当てなの?わ、僕はやめてよね。主人以外とか吐き気する」

「黒は暴れたら面倒だから手厚いだけだ。私に男色の気はない」

“じゃあ私か!?私なのかー!!”

「なっ…!アカネちゃんが危ない!殺す!まってろ!」


もぞもぞが大きくなった。芋虫も愛妻家になれるのか。

「お前はからだがないだろう」

「アカネ、こういう場合はスズ目当てと考えるのが妥当ぞ?」


鸞さんまでもが頭の悪い会話に参加してきた。

なんなのこれ…と思ってたが。


みると、何やらもぞもぞと黒庵さんが驪さんの体に触れている。


黒庵さんの足に鸞さんの手が触れ、その鸞さんは脂汗がにじんでいた。

そうか、霊力を驪さんにあげてるのか。

先ほどからもぞもぞ黒庵さんがしてたのは、一番驪さんに距離が近いから。

触れようと必死にもがいてたのだ。

触れれば物理的接触を介して霊力を送れる。


リーダーである、鸞さんを通して。


倒れて動けないままじゃだめだもんな。
鸞さんが一番霊力多いらしいし。

弱ってる驪さんを助けようとしてるのだ。

時間稼ぎに頭の悪い会話をしてる。

…なら、俺も手伝っちゃおう。


「子供に興味はない」

「じゃあ俺なの!?メイド服きた天然巨乳女子高生ことゆーちゃんを縛ったのはそういう趣向なの!?」

“お前まさかロリコン?メイド服着た女子高生大好き趣味?”

「私は胸のデカイ女に興味はない」


なにそれなんかむかつく!
俺バカにしてんの!?ねえ!どういうことだよ!


“貧乳主義ってやつか…じゃあ私も違うなぁ”

「ああ!お前まさかスズを…」

「そんなわけないだろう。彼女のような幼稚な女にも興味はない」


ロリコンも否定した。
貧乳好きなのに…。


「じゃあお前…ま、まさか男…」

やばい、俺男だった。

“だめだ!柚邑は確かに受けっぽいが、ノーマルだ!”

「……」

赤龍、頭を抱えてしまった。


「…頭痛がする…」


「だ、大丈夫?」
心配してしまった。だって顔色悪いもん。

「…こんな馬鹿な連中だったとは…」

“なんか今聞き捨てならないよーなこと聞いた”

「…聞いてないよ、アカネ」