妄想世界に屁理屈を。



改めて見回してみると、ここは洞窟の一部屋といった感じだ。


ゴツゴツした冷たい岩に四方を囲まれ、常時冷たく湿っている。

松明の火も弱々しい。

向こうに入り口があるのは、松明が照らしてくれてるからわかる。

けれど、足も縛られてるから、立てて入り口を目指せない。

さて、どうしたものか。



さ、寒いんだけど。

ぶるっと身震いすると、苑雛くんが眉をさげた。


「おねーさん…そのかっこ、寒いでしょ?」

「…うん」

正直、メイド服かなりさむい。

血か水かで濡れてるし、余計に冷えた。


「僕にできることはないなぁ、ごめんなさい」

はっきりといわれたぞ、この子怖い。

しかし、そのとおりだ。

手を互いに縛られてて期待できないのだから仕方ない。


「…しかし」


縛られてる手を、こちらに向けた。

そして目を閉じ、隣の鸞さんの肩と肩を触れさせる。

「足りない霊力を補えば、少しは暖かくなると思うんだ」



そして、からだが暖かなものに包まれた。


ぽわぽわと暖かいお日様みたいな何かが、満たされていく。

鸞さんの霊力をこっちに移してるのか。すごいなぁ。

だいぶ暖かくなった。


「ありがとう、苑雛くん、鸞さん」

「お前は被害者じゃ。存分に甘えるが良い」


さらりとかっこいいことを言った鸞さん。惚れそうだ。