“ふぁ…うるさい”
アカネの声が聞こえた。
やけに寝ぼけた声、まさこいつ寝てたの!?体ないのに!?
“うるせ…なんかこの異界眠くなんだよ…んあ?なんだこりゃー!?”
ようやく、ようやく縛られてることが理解できたらしい。
まあ正確にはアカネじゃなくて、俺の体なんだけど。
「ああっ!アカネちゃぁーん!」
“え!?だ、だありん!!芋虫になってるぞ!”
アカネが起きたのが嬉しくて仕方ないらしい黒庵さんは、うねうねと体を動かして喜びの舞。
「見ての通り、わらわたちは捕まってしまったのじゃ」
「ああ…鸞さまぁ…縛られてても可憐です」
変態が一部いる。現在ショタじゃないせいか素直にキモい。
「せっかく苑雛が大きくなったのに、これではえっちなこともできないではないか…!」
「はい、まことに、まことに残念です。無念です…」
鸞さん、小さい苑雛くんではできないアレコレを散々二次元にぶつけてたからな、積もることもあるだろうに。
同情はしないが。
「とにかく、わらわたちは個々に呼び出され、頭を殴られたり罠に嵌められたりゾンビ的なものの群れに襲われたりして捕まってしまったのじゃ。
そしてここはたぶん洞窟じゃ」
鸞さん、苑雛くんの捕まえ方はわかるけど、最後黒庵さんの捕まえ方酷くない?めちゃくちゃ手厚いじゃん。
「だってよぉ…わらわら復活するんだぜ、まじキメェ…」
芋虫がガクガクと震えた。おい、武神。
「そしたら落とし穴にはまってよぉ…」
最後は簡単だった。やっぱり単細胞生物だ。
“あれ…おい、ちょ、スズは?あいつたしか殴られてなかったか?”
そうだ、確か最後、スズは俺と一緒に襲われた。
しかし彼女はここにはいない。
「…スズな、なぜか一緒じゃないんだ」
バツの悪そうな苑雛くん。
“え?な、なんで”
「狙いはわからぬ」
…いやな予感がする。
スズはただの幼女(今は少女の姿だけど)じゃない。
彼女は朱雀、アカネの唯一無二の妹であり、家来だ。
そんな彼女を好んで別にするのは、絶対になにかしらの意味があるような。
「…あれ?そういえば驪さんは?」
「お父さんなら…ほれ、いるぞ」
え?
部屋を見渡したら、黒庵さんの後ろあたりに寝ていた。黒髪だし、わかりずらいわけだ。
まだ体調戻らないのかな、かわいそうに。
ぐったりとしたまま、目を閉じていた。
驪さんまでいるのに、なんでスズだけ…。


