◇◇◇
「ど、童話の世界!?」
叫んだ俺に、そうじゃと相槌を打つ鸞さん。
「なにやら赤龍の奴が仕組んでるらしいんだよねぇ。
知らない?ヤマタノオロチっていう童話」
“うわ、意味わかんねー
んでそんな日本神話の英雄伝なんか…”
大きくなっても態度は変わらない苑雛くんが、切り株のに座りながら他人事のように言う。
「…知らないわけじゃ、ない」
「苑雛さま、申し訳ございませんがこのバカに説明してやってください」
スズに遠巻きにけなされた。
絵本で一回読んだことあるような気がするけれど、シンデレラやかぐや姫と違ってあまりポピュラーじゃない印象だ。
国語の教科書の文化のページに載ってたけど目を通したことはない。テストに出ないし。
すると、若干イラつきながら教えてくれた。
「昔々、スサノヲという神様がいました」
「天探女の…」
「そー。でもそれよりずっと昔の話。
彼は姉と喧嘩して下界に降りてきたんだけど、すごく綺麗な娘がいて、その娘はどうやら水害を防ぐための、大蛇の供物にされるらしい。
どうしてもその娘が欲しくなった彼は、退治と引き換えに娘を貰う約束をする。
結果彼は知恵と勇気を絞って大蛇を退治し、見返りに剣と娘をもらったという話」
早口でそう言って、ため息をついた。


