「あああアカネちゃん!こんな異界で放り出されて…怖かっただろう?
かわいそうに、でももう安心して俺様がいっからよ!」
「あの、黒庵さ」
「しゃべんな餓鬼、アカネちゃんの体ないから仕方なく、だ。
目え瞑ってアカネちゃん連想してるんだから、喋ってぶち壊すんじゃねえよ」
なるほど。
決して間違えたとか、新たな読者を増やすためにBL路線に走ったとかじゃないのだ。
アカネへの猫なで声と180度違う氷点下の声にビビる。
この人嫁に甘すぎる…
“だありん、うれしいのはわかるけどゆーちゃんがかわいそう…”
「アカネちゃんがそう言うなら…」
渋々、といった感じで離れてくれる。
嫁の言うことは聞くんだな本当。
「わあ!黒庵さま!
よかった、そんな遠くにいなかったんですね!」
スズが嬉しそうに駆けよった。
それを嫁に向けるほどではないものの、それなりに優しい笑みで受け止めて。
「近くはねぇかもなぁ…
よくわかんねぇけど俺洞窟にいたし」
「「ど、洞窟!?」」
思わずスズとハモった。
だって、ここは見渡す限りの森だ、木々に囲まれている。
洞窟がありそうな岩場はないし、ていうことは。
“ど、どこから来たの…!?だありん!”
「そこの後ろの方を、んと、川をダッシュしてきた」
なんともアバウトな説明である。


